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Hiroaki Okawa
- 2021年7月28日
牛の子宮内膜炎について リスク因子解析
今回は子宮内膜炎のリスク因子についてです。 リスク因子とは ある疾病の発症や進行に影響する要因を「危険因子」「リスクファクター」と呼びます。 一般にリスク因子ということばが広く認知されていますので、私はここではリスク因子と述べます。 子宮内膜炎を起こすリスク因子には様々なものが考えられています。 基本的に分娩に関わるアクシデント(難産、死産、流産、産褥熱、胎盤停滞など)が要因になるであろうことは容易に想像がつきます。 ではそれぞれの考えられる要因が、どの程度の影響力を持つのか、ということに関して明確に示す研究結果は日本国内では少ないようです。 私は繁殖検診を通してみてきたフレッシュチェックの牛たちのカルテを確認し、難産や死産、産褥期の疾病の有無、胎盤停滞の有無など「影響すると考えられる要因」について調査を行い、その要因が実際に子宮内膜炎の発症に影響しているか、しているのであればどの程度のインパクトがあるのか、について調査をしました。 学会でのスライドを引用しています。 説明変数=考えられるリスク因子の候補 です。 これらの要因についてまずカイ二乗
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Hiroaki Okawa
- 2021年7月3日
牛の子宮内膜炎について 分類と罹患率
現在、帯広畜産大学に在籍している後藤聡先生と仕事しているときに、「繁殖、繁殖、繁殖」と叩き込まれました。 というわけで臨床繁殖の第一歩に私が選んだテーマは「子宮内膜炎」でした。 私を育ててくれた4件の農家さんで繁殖検診をしながらデータをとりました。 個体番号を記録し、VMS(VDSと同義です、すいません、腟粘液の汚れのスコアです)を記録し、来月に再検査をして治療して… だまって継続です。 そして約2年後に答え合わせをしました。 256頭のフレッシュチェックにおいて、3割近いウシが臨床性子宮内膜炎と診断されていました。 そして私はこれらに対して、PGF2αの治療を実施しました。 治療戦略です。 国内外において、VMS1、つまり粘液性状として、スリガラス状、透明粘液に白色片を含む程度の粘液は繁殖性に影響しない、とされてきました。 私もそのエビデンスに基づき、治療を実施せずに繁殖成績を追跡しました。 以下結果です。 NTR群=軽度の子宮内膜炎で無処置であった牛群で繁殖性が低下していることが分かりました。 生存分析により視覚的にどのくらい繁殖遅延がみられ
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Hiroaki Okawa
- 2021年7月1日
牛の子宮内膜炎について 概要
獣医師に関わらずどんな仕事であれ、「これだけは負けない」であったり、「この分野が好き」というようなものが生まれてくると思います。 私はウシの臨床獣医師として最も興味を持ったのは「臨床繁殖」でした。 今回は私がこれまでに発表してきた内容について少しずつ紹介しながら私自身も復習していきます。 炎症性子宮疾患の定義とは? 子宮内膜炎に関する多くの論文を執筆しているSheldonらの基準を参考に作成しています。 炎症性子宮疾患という言葉は最近になって認知されるようになったように感じますが、ヒトの領域では骨盤内炎症性疾患(PID, Pelvic inflammatory disease)がほぼ同義にあたるかと思います。 ウシの産褥期の子宮炎の罹患率は想像以上に高く、これらに対する対処が繁殖性の予後を決する可能性もあると私は考えています(一方で積極的な治療をしても繁殖性には影響しない、という報告もあります)。 子宮炎はみんなが見つけて治療をしている 図1にある「子宮炎」は、いわゆる「産褥熱」と診断される疾病を含めています。 つまり「分娩に伴う子宮内感染症と炎
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