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伏見 康生
大川 洋明

牛の子宮内膜炎について リスク因子解析

今回は子宮内膜炎のリスク因子についてです。


リスク因子とは


ある疾病の発症や進行に影響する要因を「危険因子」「リスクファクター」と呼びます。

一般にリスク因子ということばが広く認知されていますので、私はここではリスク因子と述べます。

子宮内膜炎を起こすリスク因子には様々なものが考えられています。

基本的に分娩に関わるアクシデント(難産、死産、流産、産褥熱、胎盤停滞など)が要因になるであろうことは容易に想像がつきます。

ではそれぞれの考えられる要因が、どの程度の影響力を持つのか、ということに関して明確に示す研究結果は日本国内では少ないようです。

私は繁殖検診を通してみてきたフレッシュチェックの牛たちのカルテを確認し、難産や死産、産褥期の疾病の有無、胎盤停滞の有無など「影響すると考えられる要因」について調査を行い、その要因が実際に子宮内膜炎の発症に影響しているか、しているのであればどの程度のインパクトがあるのか、について調査をしました。

学会でのスライドを引用しています。

説明変数=考えられるリスク因子の候補 です。

これらの要因についてまずカイ二乗検定を行いました。



その結果、胎盤停滞の治療歴のあること、分娩後30日以内の病傷治療歴のあることが「子宮内膜炎の発症している個体において、関連性がある(罹患率に差がある)」ということが統計的に明らかになりました。


多変量解析によるオッズ比


単変量解析により、

「子宮内膜炎罹患率は、胎盤停滞の治療歴と、分娩後30日以内の病傷治療歴の有ることで有意に増加する」という結果を得ました。

では、どちらの疾病のヒストリーの方が、子宮内膜炎への影響が大きいのでしょうか?

ロジスティック回帰分析という多変量解析の手法によって解析をしました。



多変量解析の結果、胎盤停滞の治療歴の有ることが、無いことと比べて3.96倍、分娩後30日以内の病傷治療歴は2.02倍、子宮内膜炎に罹患しやすいという結果となりました。

これまでも胎盤停滞などの疾病は繁殖成績に影響することは明らかでしたが、国内において「影響としてどの程度のインパクトがあるのか」ということについては報告があまりありませんでした。

つまり、胎盤停滞、産後疾患のあった牛は「リスク牛」として注意を向けるべきであり、子宮内膜炎に罹患している可能性が健常牛と比較して2-4倍であることを認識すべきです。

繁殖検診におけるフレッシュチェックは極めて重要で、その後の繁殖成績に影響する子宮内膜炎をより早期に摘発し、適切な処置をすることが肝要です。

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