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伏見 康生
大川 洋明

AMH濃度と繁殖性に関して

更新日:2022年3月18日

AMH濃度と繁殖性についてはこれまでに多くの報告があり、国内外でも注目され、牛の繁殖に関わる方であれば雑誌や学会などで耳目にしたことがあるかと思います。


ヒトの産婦人科領域で広く知られており、近年は馬や牛の生殖器の腫瘍性疾患の鑑別、繁殖能力の評価に利用されています。


今日は少し過去になってしまいますが論文を紹介します。


Concentration of anti-Müllerian hormone in dairy heifers is positively associated with productive herd life. F. Jimenez-Krassel et al. 2015


ホルスタイン種未経産281頭の11-15カ月齢のAMH濃度を測定し、その後の繁殖、生産転帰を追った論文です。




上の図は、そのAMH濃度に基づき、四分位(上位から下位に25%ずつ分けた)で構成した群の生存曲線です。

x軸は初回分娩からの日数を示し、y軸は牛群に残っている牛の割合を示しています。右に下がっていくほど牛が減っている、つまり死亡、淘汰が起きているということになります。

最も右に向かって下がっているのはQ1、これは下位25%のAMH濃度の牛です。


AMH濃度の低い牛たちは、ほかの牛に比べて生産期間(生存期間)が短くなることを明瞭に示しています。


この研究において、下位25%の牛たちは上位の牛たちより平均で約6か月(172日)生存期間が短くなったと報告しています。


AMHの低い牛群の初産時の305日乳量は、ほかの群(Q2-4)に比べて500-1000kgもの差があります。これも淘汰となる、生存期間の短くなる理由であると本論文では考察されています。

私が注目したのはQ4(上位25%)です。最もAMH濃度の高い群ですからさぞ繁殖も良く、生産性も高いのだろう(比例的に)と思いきや、生存曲線でもそうでもありません。

またTPP(total percentage pregnant)という指標においても、Q2, 3が最も高い数字となっており、初産の後の産歴においても繁殖性も良かったことが示されています。


一定以上のAMH濃度を持つ(卵巣予備機能を持つ)牛であれば良い、下位25%をボトムアップする牛のセレクション(選抜)をしていくことで牛群の生産寿命、生産性を向上させることができるとしています。



AMHの遺伝

AMH濃度の高さは遺伝するのでしょうか?


先ほどの論文でも、他の論文でも、一般的な繁殖形質(DPRなど…)と比較して、AMHの遺伝率推定値は高く、Gobikrushanth(2018)らは0.46±0.31、Nawaz(2018)らは0.36±0.03と報告しています。この遺伝率は中程度~高とされているようです。


当然ながら、繁殖性の良い母牛がたくさんの牛を生産するわけですから、自然選択的に繁殖性の良い牛が選抜されていくわけですが、AMH濃度を測定し、さらにゲノム評価をすることでホルスタイン種の改良速度は今後ますます加速的になっていくものと思います。




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