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伏見 康生
大川 洋明

牛の子宮内膜炎について 概要

更新日:2021年9月21日

獣医師に関わらずどんな仕事であれ、「これだけは負けない」であったり、「この分野が好き」というようなものが生まれてくると思います。

私はウシの臨床獣医師として最も興味を持ったのは「臨床繁殖」でした。

今回は私がこれまでに発表してきた内容について少しずつ紹介しながら私自身も復習していきます。


炎症性子宮疾患の定義とは?











子宮内膜炎に関する多くの論文を執筆しているSheldonらの基準を参考に作成しています。

炎症性子宮疾患という言葉は最近になって認知されるようになったように感じますが、ヒトの領域では骨盤内炎症性疾患(PID, Pelvic inflammatory disease)がほぼ同義にあたるかと思います。

ウシの産褥期の子宮炎の罹患率は想像以上に高く、これらに対する対処が繁殖性の予後を決する可能性もあると私は考えています(一方で積極的な治療をしても繁殖性には影響しない、という報告もあります)。


子宮炎はみんなが見つけて治療をしている


図1にある「子宮炎」は、いわゆる「産褥熱」と診断される疾病を含めています。

つまり「分娩に伴う子宮内感染症と炎症」を指してます。

グレード1の場合は「生理的回復」の途中経過であり、治療の対象とはなりませんね。2週間もすれば悪露もなくなり、子宮回復も良好でしょう。

一方でグレード2は発熱や元気食欲不振という顕著な臨床症状を示しますので治療の対象となり、獣医師の診断、治療を必要とする、もしくは畜主さんでの対応が必要となります。

適時、それぞれの現場での治療がなされていくと思います。

子宮炎の治療に関しては後日…。

分娩後3週までにみられる炎症性子宮疾患は子宮炎であり、比較的目にすることが多い病気です。みなさんもよく認識していると思います。

産後に熱を出した牛は乳量が出ない、繁殖が悪い

と考えるためしっかりとした対処をできるはずです(できていないこともありますが…これも後日…)


分娩後21~28日以降の子宮内膜炎を摘発しているか?

みなさんは繁殖検診をしているでしょうか?

繁殖検診時に「フレッシュチェック」をしているかと思いますが、腟粘液を観察、評価していますか?

子宮内膜炎を確実に診断する方法は「子宮内膜細胞診」をしなくてはいけませんが、現場で数多くのウシを診る獣医師にそんな時間はありません。

私は「腟鏡」「メトリチェック」を利用しています。

これらの道具を使って腟腔内に存在する粘液性状を観察します。


右のように腟鏡をいれるだけで観察できることもありますが、ライトで内部を確認して評価をしていきます。

当然ながらスコアの高いウシ(子宮回復が悪いウシ)は空胎日数が延長します。


上図はWilliamsらの論文からです(Williams et al. 2004)。Vaginal mucus scoreとありますがVDSと同義と考えてOKです。

X軸(横軸)が分娩後日数で、右に向かって早く下がる=妊娠した、ということになりますので、0の方が早く妊娠していることが分かります。

これほど明瞭に子宮内膜炎は繁殖性を阻害することが分かりましたが、子宮炎ほど子宮内膜炎に注意を払っている(診断、治療している)でしょうか?

私は獣医師2年目のころから子宮内膜炎の診断、治療に興味を持ち、継続して記録をしていきました。

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