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伏見 康生
大川 洋明

牛の子宮内膜炎について PGF2αによる治療

今回はPGF2α(以下PG)の子宮内膜炎の治療効果についてです。

産後の子宮が大きい、ゴワゴワしている、汚れた粘液が出ている、などの理由で獣医師が「PG打ちます(または打ってください)」となることは多いと思います。むしろもっとも選択される子宮内膜炎治療かもしれませんね。

ではこのPG投与による効果はどれほどのもので、どのような状況にふさわしいか考えてみます。




上のスライドに示すのは、一般的に知られている概念と、最近の臨床報告です。

当然多くの獣医師や繁殖技術者が理解しているように、卵巣に黄体がある場合のほうが治療効果は高いと言われています。そして、卵巣静止している、黄体がない個体への分娩後早期の投与は効果が少なく、むしろ繁殖性を阻害するという報告もあります。

私自身も黄体期ではない症例に対してPGを使うことが正しい治療処置となっているのかどうか不安に思っていました。

繁殖検診時に子宮内膜炎と診断した牛(分娩後21-90日)にPGを投与し、その治療効果と、その後の繁殖成績を調査しました。




受胎をエンドポイントとした生存曲線では、PG治療牛(VDS≧2)の受胎成績が健常牛と大差ないことを示しています。

表では、黄体の有無が治療効果に差がなかったこと、分娩後日数においても差はなかったことが実際の繁殖成績の結果をみると分かりました。

統計上の差がなかっただけで、分娩後早期(21-28日)におけるPG投与は少し慎重になる結果ではありました。

私自身は、これまで過去の国内外の報告、私自身でまとめた結果、経験的な認識も含めて

①PG投与は黄体の有無に関わらず分娩後28日以降には積極的に選択(VDS≧2)

②子宮形状の回復不良には分娩後7日以降であれば卵巣所見に関わらずPG投与すべし

③子宮蓄膿症に対してはまずはPGを選択し、投与7~14日で再検査、子宮形状回復していればイソジンまたは抗生物質の子宮内注入

と考えています。

紹介したように、PGの7日ごとの3回投与もコストはかかりますが、効果的であろうと思います(私は2回で充分だと思っています)。

PG投与に関わらず子宮内膜炎の治療で重要なのは、治療効果の判定(治癒判定)であると思います。

牛の生命に関わる疾患でないがゆえに、1度の診断、治療で放置されがちですが、繁殖性には大きく影響するものですので、しっかりと治癒判定をして、追加の治療が必要かどうかを判断する必要があると私は考えています。

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