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伏見 康生
大川 洋明

分娩前後のAMH濃度の変化は何を示しているか②

さぼりすぎていました。

11月から月2回程度(いや、2回以上)の更新を目指し、ここに宣言。

臨床繁殖、飼養管理、採卵、OPUに関して散らかりつつ発信していきたいと思います。



さて分娩後のAMH濃度の変化について、今回は炎症との関係性


ホルスタインの乳用牛における周産期の疾病発生の多さは獣医師、酪農家さんともに広く認知されていることと思います。


私は4軒の酪農家さんを対象に

分娩予定2週間前(Pre)

分娩10日後(D10)

分娩4週間後(D28)

の3つのタイミングで採血を行い、生化学検査などを実施しました。


なかでも、この調査の中でSAA(血清アミロイドA)の測定を実施しました(鹿児島大学の大和先生:大学院の副指導教官のススメで…)。


血清アミロイドAはいわゆる「急性相反応蛋白」といわれるもので、獣医療領域では炎症状態にあることを示す指標となるもので、とくに「急性」の病態の変化を鋭敏に示してくれます。人では広く「CRP」が用いられますので同じようなものと考えていただいても結構です(もちろん臨床上の詳しい解釈や判断は異なります…)。


ではまずSAA濃度(µg/ml)の変化をみてみましょう。



Pre:5.96

D10:9.82

D28:10.53


分娩後に明らかに上昇していることが分かります。

つまり急性期の炎症が分娩後2週、4週の時点で、現在進行形で存在している個体が多いことを示しています。

ちなみに採血した43頭はすべて顕著な臨床症状を示していない健常牛です。


次にAMH濃度をみてみましょう。

AMHは分娩予定2週間前と、分娩4週間後の2つのタイミングで検査をしました。



Pre:455.2

D28:557.2


全体でみるとやや増加しています。


Monniauxらは、分娩時に低値を示して徐々に上昇するという報告をしていますが、我々は分娩前後の比率に着目し、増加に転じたのか、低下に転じたのかでグループ分けをしました。

四分位(25%ずつに分ける)によって

① 低AMH群(分娩後にAMH濃度が下がった)

② 中間AMH群(分娩前後のAMH濃度の変動が少ない)

③ 高AMH群(分娩後にAMH濃度が上がった)

の3つに振り分け、①と③のグループに注目し、炎症との関連性を調べました。




結果をみていただくと分かるように、分娩後にAMHが低下した群のSAA濃度が非常に高くなっていることが分かりました。TPやAG比とも強い相関性がありました。非常に興味深い結果です。


この因果関係は明らかにできていませんが、炎症の存在とAMH濃度には明確な関連性があるということが分かりました。つまり炎症は繁殖能力、とりわけ卵巣機能を反映するAMHにも影響するということです。


実際の繁殖成績については次回…


文責:大川

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