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伏見 康生
大川 洋明

牛の子宮内膜炎について イソジン液の効果

乳牛の子宮内膜炎治療に関して、イソジン液の子宮内注入は非常にメジャーではないでしょうか。

休薬がないこと、薬剤耐性に関する議論がないこと、費用も安いこと

などが挙げられると思います(特に前者2点)。

このイソジン液の割合についてはさまざまな意見やエビデンスがあることを承知しています。

私は基本的に

フレッシュ(産後)の時期の治療には2%

定時処置などの際の子宮投薬には0.5%(高張ブドウ糖で希釈)

というように使い分けておりました。

2%だと細胞毒性があり、逆に子宮環境を悪化させる、というようなことも聞いたことがあります。

一つの論文を紹介します。

Effects of intrauterine infusion of povidone-iodine on endometrial cytology and bacteriology in dairy cows with clinical endometritis

Mido et al. 2016

乳用牛における臨床性子宮内膜炎の細胞診および細菌検査によるイソジン液の子宮内投与の影響

といったタイトルでしょうか(適当)

試験1で子宮内膜炎由来の病原細菌のイソジン濃度別の感受性に関して調査

試験2で実際に臨床性子宮内膜炎に罹患した牛へのイソジン液の投与効果、繁殖への影響について調査

しています

試験1の結果


細菌コロニーの懸濁液50μL(1×10の5乗~6乗cfu/ml)+イソジン2%液 or イソジン0.5%液 450μLの混合液の培養結果です

0.5%でも充分な効果がありそうですね

ただしこれは、圧倒的にイソジンの量が多い時である、ということです


試験2の結果



試験2では子宮蓄膿症に罹患してPGF2α投与などを行った牛を試験に供試、確実に子宮内膜炎に罹患しているだろうという想定で実施されています。

2.0%PVPは分娩後78.1±25.6日, 0.5%PVPは102.7± 26.6日(有意差無し)にイソジン投薬を受けています。

結果ですが、子宮内膜炎自体の治癒の程度も、その後の繁殖成績においてもは2%イソジン液に軍配があがっているようです。

子宮内膜炎のPMN40%というのはかなりひどい状況ですから

子宮蓄膿を既往歴に含む(または治療後)臨床性子宮内膜炎の治療には、イソジン2%液が適応である

と私はこの研究を通じて理解しています。

ただし、子宮蓄膿症を呈し、子宮内に相当な膿液が溜まっている状態でのイソジン液注入にはまったく効果がないと考えています。

試験1の試験でも、細菌コロニー懸濁液:イソジン=1:9で殺菌効果について調べています。

イソジン液は非常に効果的と私も考えていますが、あくまでも子宮形状に異常のない、臨床性子宮内膜炎に対して適応であり、子宮蓄膿症、産褥期の子宮炎に関しては、PGF2α製剤の投与、子宮洗浄などをオススメします。

次は実際に私が子宮内膜炎にフォーカスして繁殖改善に取り組んだ事例を紹介します。

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